SONY TR-6080

Serial No.26843

概要

TR-6080は6石のポータブルトランジスタラジオです。持ち運びに便利なサイズで音質・音量もしっかりしており、取っ手付きで、室内を持ち運んで使うようなラジオです。

このモデルは手持ちの日本語のカタログ類では見つけられませんので、日本では発売されなかった海外専用モデルだったのかもしれません。北米に輸出されていたようです。販売開始もはっきりしないところがありますが、使用トランジスタからは1960年代前半と思われます。ダイヤルにCDマークがありますので、1963年以前と思われますが、ここでは、ネット上の情報から、1962年としています。
海外のラジオ風なクラッシックなデザインです。金属製のハンドル兼スタンドが付いており、3か所で止まるようになっています。
ソニーのラジオ型番はTR-に2桁の数字から始まりましたが、そのうち3桁になりました。このラジオでは4桁になっています。TR-608(1958)と外観のデザインは異なりますが、同じくらいのサイズで、基板の部品の配置、全般的な構成も似ており、後継または派生機種のようです。部品は大分新しくなっています。
TR-75の時代から使用されているバリコン直付けの大きなダイヤルが継承されています。チューニングはやり易いです。すでにこの頃、トランジスタラジオ用のポリバリコンはありましたが、このラジオは金属製のエアバリコンが使われています。巨大ダイヤルの直付けは、ポケットラジオ用の華奢なバリコンでは難しかったかもしれません。
バーアンテナは本体目いっぱいの大型(160mm)のものが使われてます。この頃になると、コンデンサー類は、トランジスタラジオ用の耐圧が低くコンパクトなものがつかわれて行きます。
トランジスタはゲルマニウム6石です。OSC/ミキサーには2SC73、 IFは2SC76 x 2、低周波の初段は2SD65、電力増幅は、中出力用の2SB49 x 2です。回路はオーソドックスな6石ラジオです。電力増幅は、トランス2個を使ったプッシュプルです。

仕様

発売:

1962?年 (昭和37年)

電源:

単2x3, 4.5V

トランジスタ等:

6 TR

音声出力:

バーアンテナ:

160mm

スピーカー:

操作部:

電源SW付ボリューム、チューニング

表示等:

受信周波数:

MW:: 535 - 1605 kC

ターミナル:

イヤホン x 2、外部アンテナ

シリーズ:

サイズ:

W198mm x H114mm x D45mm

重量:

色:

白、緑、赤

製造:

日本製

価格:

円

メンテナンス

受信しませんでした。変調した455kHzの信号を近づけると鳴りますので、局発回りの不調のようです。この時代のラジオは、ソリッドタイプの抵抗の劣化で値が上昇し、トランジスタがうまく発振していないケースが多いようですが、このラジオもそのようでした。

シャーシを前面パネルに固定しているネジの受け側が3か所破損し、1か所は折れた部品もありませんでした。欠損部分はナイロンのスペーサーナットを使い補修しました。

前の持ち主の方が掃除してくださっているようで、内部・外部ともきれいです。外部電源に繋ぎましたが受信しませんでした。

シャーシ、スピーカーを取り外しました。

バリコン直付けですが、しっかりとしたエアバリコンに目いっぱい大きいダイヤルつまみでチューニングしやすいです。

この状態で動作確認しています。適当な抵抗をパターン側に接触されて抵抗値を調整して確認します。

局発用のトランジスタは写真基板の左下付近にあります。バイアス用に関わる抵抗は3つあるようですが、バイアス用の元電圧を調整している抵抗を調整（パターン側からパラに抵抗追加）し、安定して発振するようにできました。

基板固定用のビス受けは4か所中3か所破損していました（写真は生き残っている一か所です）。2か所は折れた部品がケース内で見つかりました。接着剤でくっつけた後がありました。部品がない1か所は写真のようなスペーサーボルトの長さを調整したものを接着して使いました。

ナイロン・ABSで強度の保てる軟質系の接着剤で固定しました。いまのところ留まっています。　

2023/05/07

No.175