SONY SRF-S83

Serial No.736325

概要

ソニーSRF-S83は、イヤホン専用のFM/AM2バンドラジオです。FMはステレオで受信できます。縦長のコンパクトなデザインでライターサイズラジオとか呼ばれています。

ライターサイズラジオは、やや縦長でライターよりはやや大きいですが、スピーカーを省略している分、大変コンパクトに設計されています。重量も超軽量です。本体にクリップが付いており、胸ポケットに固定できるようになっています。
薄さではカードタイプが勝りますが、電源は単4電池です。毎日使う通勤ラジオにはランニングコスト面で有利です。大体の通勤ラジオは、単4が1本か2本がスタンダードのようです。
姉妹機として、同じアナログチューニングでVHF(4-12ch)も聴取できるSRF-S85、PPL方式のデジタルチューイングのSRF-M90の2機種の上位モデルが同時期に発売されていました。後継のモデルはSRF-S84と思われます。
イヤホン専用ですが、FMはステレオで受信できます。チューニングはアナログ、電源スイッチは機械式でタイマー機能等もなく、この種のラジオではエントリーモデルです。アナログチューニングで、アナログ地上波TVの1-3chが受信できるため、現在のFM補完放送(90.0-94.9MHz)を聴くことができます。
AM用のバーアンテナは30mmと小さいですが、通常のAM受信には支障はありません。FMはイヤホンがアンテナを兼ねているタイプです。バーアンテナは、本体の下側に横に入っています。
MEGA BASSというバスブースト機能が付いています。特にFM放送では迫力のある音を楽しめると思います。LA3550MというICがこの機能を提供しています。このICはステレオのオートラウドネス用のICで、内部はオペアンプを使ったフィルター回路が組まれているようです。このICは、低音域(30-50Hz)は、設定により6-24dB、中高音域は6dBで一定のゲインが得られる仕様になっており、プリアンプを兼ねています。イヤホンやヘッドセットで聞く用途向けのため、ブーストされる周波数がかなり低くなっています。
主にICを使用したラジオです。メインのラジオ用のICは、ソニーのCXA1129が使用されています。フロントエンドから復調までをカバーしFMステレオの処理もできるICです。このラジオは、OSCらしきものは2つありますが、IFTや、セラミックフィルタが見当たりません。その代わりに電子回路によるフィルターでIC内部で処理しているようです。
FMはダブルコンバージョンとなっています。1段目は可変局発に同調をトラッキングさせた、一般的な周波数変換で、IFは28.4MHz、2段めは、固定局発でそれを150kHzまで落としているようです。AMもIFは55kHzと低い周波数を使用しています。低いIFは、イメージの問題が出やすいですが、CXA1129は、複素ミキサー（直交ミキサー）と呼ばれる、元の局発信号と、位相を90°ずらした局発信号の2つを使うことで、原理的にイメージの入り込みを防ぐ回路が使用されているようです。
あと、ICが2つ使われていますが、塗装がしてあり、よく見えませんが、よく見ると一つは4535、もう一つは3550と書かれています。4535は、三洋のLA4535(1.5V駆動、ヘッドホンステレオ用)と思われ、ステレオパワーアンプです。3550は、前出の三洋のLA3550Mと思われます。トランジスタも1石、表面実装タイプが使用されています。

仕様

発売:

1998年 (平成10年)

電源:

単4x1 (1.5V)

トランジスタ等:

3IC, 1TR(?)

音声出力:

3.6 + 3.6mW (歪率10%)*

バーアンテナ:

30mm

スピーカー:

なし

操作部:

電源OFF/ON/MEGA BASS、ボリューム、チューニング、バンド切替SW(AM / FM MONO / FM STEREO)

表示等:

受信周波数:

AM:: 530 - 1605 kHz
FM:: 76 - 108 MHz (TV 1-3 ch), ステレオ

ターミナル:

ステレオイヤホン (3.5mm)

シリーズ:

サイズ:

W42mm x H80mm x D16mm

重量:

36g

色:

シャンパンゴールド/ガンメタリック

製造:

中国製

価格:

オープン価格

メンテナンス

電源スイッチ、バンド切替SWの接触が悪く、安定して鳴りませんでした。その他は問題なさそうでした。

ビス2本外して、爪を外していくと裏蓋がとれます。

基板は、イヤホンジャックの部分と、チューニングつまみ下側辺にある爪をはずすと、分離できます。電池金具もスムーズに外せます。2つのスライドスイッチは本体に微妙に隙間があったので、そこから接点洗浄剤を少し吹き込みました。

本体前面側です。目盛りはラックで動かすタイプです。

フィルム上のテープが劣化して剥がれ落ちたので、ポリイミドテープで同じようにカバーしました。

裏蓋側もテープも貼り換えました。

目盛りのセットは高周波数側でやったほうがやり易そうです。

この状態で動作OKを確認しました。

カタログ情報等

製品のしおり

毎日の通勤・通学を楽しくする、軽くてコンバクトなライターサイズラジオ
TV(I—3ch)・FMステレオ/AMポケッタブルラジオ
SRF-S83　オープン価格
付属:ステレオイヤーレシーバー、乾電池

小さくて軽いライターサイズラジオ
シャンパンゴールド、ブルーのきれいな2色のカラーバリエーション
迫力ある重低音が楽しめるMEGA BASS搭載
操作が簡単なアナログチューナー
背面クリップ付

電池持続時間:アルカリ単4乾電池使用時、イヤホン約38時間(FM時)、約46時B(AM時)
大きさ:幅42.5 x 高さ80 x 奥行16.5mm
質量:約59g(乾電池含む)
製品のしおり90 (1998), p70

シャンパンゴールドという色は、iPhoneでも使われていますが、もともとは、アクセサリーに使用される、金とパラジウム等の合金のを指しているそうです。

2023/06/08

No.180