SONY ICR-E3

Serial No.　NA

概要

ソニーICR-E3はAM専用のICラジオです。巻き取り式のイヤホンを内蔵しており、スピーカー無しのイヤホン専用のラジオです。1チップICを使用、スピーカーがないこともあり、大変コンパクトなラジオです。

1983年の発売です。スピーカーは無しのイヤホン専用ラジオです。型番の"E"はこの頃、スピーカーの無い、イヤホン専用のラジオに振られています。このラジオは、巻き取り式イヤホン内蔵のラジオとしては、ICR-E2と並んでソニー初かもしれません。
巻き取り式の内蔵イヤホンですが、スプリングを使った自動巻き取りではなく、繰り出すときもハンドルを回すタイプです。そのためか、構造がわりとごついです。
コンパクトではありますが、1978年に発売されたミリQシリーズのICR-9と比べると、大分厚いです。技術の粋を集めて小型化・薄型化したものではなくて、単4電池駆動でそこそこの価格でというものだと思います。
電源スイッチは電子式で、60分のオートパワーオフ機能付きです。回路は専用ICではなく、トランジスタ3石と大容量のコンデンサーを使ったもののようです。省スペースのためか、ボリューム調整は可変抵抗ではなく、3段切替スイッチになっています。
当時ウォークマンに使用されていた、ヌードと呼ばれる音質のよいイヤーレシーバーが使用されています。ただ、中波専用のスーパーラジオですので、信号としての音質はそんなに良くないと思われ、宣伝文句としてはともかくオーバースペックだったかもしれません。
姉妹機のICR-E2は、本体は全く同じ形状のようですが、受信周波数が810kHzに固定されており、FEN（現在のAFN、関東エリアで放送されている米軍向け放送）しか聴取できないラジオです。
1980年頃、ソニーはラジオ用1チップICを開発して製品に投入しており、カタログでも「1チップで高性能」とかの宣伝がありました。このラジオもワンチップICの枕詞が付いていますが、ソニー製ではなくて東芝製のIC TA7641を使っています。データシートを見ると、このICは無負荷時電力が小さいことを売りにしているようなので、省エネの観点から採用されたのかもしれません。
前述の通り、局発～パワーアンプまで一式入った1チップICのTA7641を使用したラジオです。電子スイッチ・タイマーに3石ほどトランジスタが使われているようですが、基板が外しにくく部品の実装もぎゅうぎゅうのため、型番は確認できていません。

仕様

発売:

1983年 (昭和58年)

電源:

単4x2、3V

トランジスタ等:

1 IC, 3 TR

音声出力:

バーアンテナ:

52mm

スピーカー:

なし、巻き取り式イヤホン

操作部:

電源SW、ボリューム、チューニング

表示等:

受信周波数:

AM:: 535 - 1605 kHz

ターミナル:

シリーズ:

サイズ:

W68 x H68 x D20 mm

重量:

68 g

色:

黒、白、赤

製造:

韓国製

価格:

4,500円

メンテナンス

若干ボリューム切替スイッチの接触が悪いですが、基本動作には問題ありませんでした。分解して掃除しようとしましたが、本体にビスというものが見当たらず、外から見ただけでは造りがよくわかりませんでした。本体シャーシに、前面と後面の2つのカバーがはめ込みだけで固定されていました。

イヤホンは、元の状態が分かりませんが、表面のスポンジが劣化して外れてしまったようです。この部分は消耗品として今も入手できそうですので、また付け替えようかと思います。

ストラップを取り付けられる角から、プラスチックのへらを入れて、リール側のパネルから順次開けていきました。リール以外の部分が外れます。

こちらは、スイッチ・目盛りのあるサイドです。同様に、シャーシにはめ込みで固定されています。カバー側を広げる感じで外します。ダイヤル指針は、つまみに金属針がクランクとして取り付けられています。

ワンチップのICです。右上にトランジスタが3石ほど見えます。

はめ込みを外すときの参考用です。四角い穴の部分に、爪が入り込んでいます。

はめ込みを外すときの参考用です。

復旧時、イヤホンのケーブルをカバーに挟まないよう、切り欠き部分を通します。

カタログ情報等

製品のしおり

製品のしおり49 (1985), p72

リールをクルクル回して、小さなポティに「ヌード」を収納いい音がおしゃれに聴けるAM専用ポケッタブルラジオ
AM専用ポケッタブルラジオ
ICR-E3(B)(R)(W)　￥4,500

クルクルとリールを回してイヤーレシーバーの取り出し、巻き取りができる、便利なイヤーレシーバー巻取り機構
音質の優れた高性能イヤーレシーバー「ヌード」内蔵
60分のオートパワーオフ機構
約100時間の長電池寿命(UMー41J使用時)
ワンチップIC採用になる高感度・高信頼度設計
3段切替えポリューム

電源:乾電池(単4型2個)
重さ:118g(乾電池含む)
大きさ:幅69x高さ69x奥行19.5mm(ElAJ)
電池持続時間:UMー4(U)使用時、約100時間
主な付属品:イヤーレシーバー内蔵、乾電池

2023/11/23

No.196