SONY ICF-TR40

Serial No. ?

概要

ICF-TR40は、FM/AM2バンドのハンディーポータブルラジオです。ソニーが日本で初のトランジスタラジオを発売してから、40周年を記念して発売された、アニバーサリーモデルです。1チップICを使ったICラジオですので、ICF型番になっていますが、以前トランジスタラジオに付けられていた、"TR"が型番に入れ込まれています。

世界初のトランジスタラジオ、"Regency TR-1"は、1954年12月に発売されています。Regencyはブランド名で、IDEA (Industrial Development Engineering Associates)という会社が製造販売していました。1961年に、社名をRegencyに変更しているため、TR-1はRegency製と言われることもあります。
日本で最初のトランジスタラジオTR-55は、このTR-1や、その後発売されたアメリカ勢に遅れをとったものの、1955年9月に発売されました。Regency等のラジオメーカーは、自社でトランジスタを製造しておらず、テキサスインスツルメンツ等から供給を受けていました。ですので、ソニーのTR-55は、自社製トランジスタを使ったラジオとしては、世界で最初になるそうです。
このラジオは、TR-55の発売から40周年を記念した、アニバーサリーモデルとして発売されています。製造は、1995年ですでにほとんどのIC化されていた時代で、このラジオもワンチップICを使っています。ただ、トランジスタラジオの記念モデルということで、TR-55にも付けられていた、"TR"がモデル番号に冠されています。
機能的には普通の2バンドラジオですが、デザイン的には、茶色の合皮をあしらった本体に、欧米で大ヒットしたTR-610を彷彿させるメタル調のスピーカーグリルを配した、レトロ風を意識した特徴のある外観です。
電池ボックスの蓋や、ロッドアンテナ等はしっかりしたものが使われています。写真の個体は欠品ですが、背面に引き出し式のスタンドがあり、そこに"Sony Radio 40th anniversary (1955-1995)と書かれたエンブレムがはまっています。
この合皮の外装は、ウレタン製なのか、耐久性が不足していたようで、劣化してぼろぼろ剥がれてきます。オークションとかでも、はげはげのものが多いです。記念モデルということで、長期間の使用やコレクション的に買う人も多かったかもしれませんので、少し残念なところですが、一方で、状態のよいものは、元の定価の何倍の値段で取り扱われているようです。
海外でも記念モデルとして発売されていたようです。周波数など多少異なると思いますが、サービスマニュアルがネット上で入手できます。
内部基板は、両面に部品が実装されています。表面実装の部品は双方に、挿入実装のものは後ろ側の面に取り付けられています。1-ICのラジオで、小型の2バンドラジオに使用される、CXA-1280Nが使われています。回路図を見ると、他の半導体としては、同調LEDと、FMのフロントエンドのリミッターにダイオードが使われているのみのようです。

仕様

発売:

1995年 (平成7年)

電源:

単3x2 (3V)

トランジスタ等:1 IC

音声出力:

100 mW

バーアンテナ:

50 mm

スピーカー:

操作部:

電源SW付ボリューム、バンド切替SW、チューニング

表示等:

同調LED

受信周波数:

AM:: 535 - 1605 kHz
FM:: 76 - 108 MHz (TV 1-3ch)

ターミナル:

イヤホン

シリーズ:

サイズ:

W72mm x H115mm x D25mm

重量:

121g

色:

茶

製造:

日本製

価格:

8,800円(税別)

メンテナンス

例にもれず、合皮の外装ははげはげになっていました。茶色のシート部がぶよぶよしており、どんどん剥がれてしまいそうです。あと、背面のスタンドが外れて紛失していました。ラジオの受信は、両バンドとも良好でした。

外観に配慮してか、底部の2か所、マイクロねじで留められています。爪が左右と上部にあるので、へらなどではずすと、スピーカーとダイヤルスケールが付いた前面側が外れます。基板は背面側に付いています。

電池金具と爪を外せば、基板は取り外せます。挿入部品が実装していある側です。大型の電界コンデンサーやコイル、IFTなどがこちらの面にマウントされています。

基板を外した裏面側です。しっかりしたアンテナが付いています。電池ボックスの蓋は別の樹脂部品でつくられており、蓋は本体から外れない構造になっています。

ビス2か所で、電池ボックスが外れます。

スタンドが破損していますが、ヒンジをピンでとめてあった感じで、適当な工作で用を足せるものは作れるかもしれません。また今度トライしてみようかとも思います。

基板の反対面です。表面実装の部品が取り付けられています。セラミックフィルターは455kHzのもののようです。

裏側の外装の剥離部です。

表側の外装の剥離部です。

手元に水性のマジックじかなかったので、マジック（ダイソー36色）の似たで着色したあと、皮用の艶無しコート剤（水性・クリアのアクリル塗料のようです）を塗りました。

裏側も同様に補修しました。茶色の膜の浮いた感じには効果はないのかもしれませんが、表面はそれなりにしっかりしたので、多少は剥がれにくくなったのではと思います。

その他情報

カタログ等

商品のしおり82 (1996/3), p69

新感触のレサー仕様&アンティックデザイン。ソニー・ラシオの40周年記念モデル。
TV(l—3ch)・FM /AMポケッタブルラジオ
ICF-TR40 標準価格8,800円(税別)
付属:乾電池、イヤーレシーバー

洒落た小物感覚のレザー調&メタル仕上げ
量感ある音が楽しめる出力100mW のスピーカー内蔵
AMのチューニングをより確実にする大型バーアンテナ内蔵

大きさ:幅114X高さ22.5X奥行72mm
質量:約180g

2022/02/10

No.160