SONY ICF-800

Serial No.31034

概要

ソニーICF-800は、FM/AM2バンドのポータブルラジオです。機能的には基本的なものですが、100Vの電源が直接使用できるので、据置いてホームラジオ的にも使えます。取っ手付きで簡単に持ち運べます。

ラジオとしては機能的には絞られていますが、お手軽ラジオよりも大き目で、100Vで使えて大きい分音質も良さそうです。つまみやスイッチも大きなものが使われており、表示も日本語で表示も大きく、シニア向けなのかもしれません。ラジオはもともと輸出メインであったためか、英文表示が多かったためか、日本語表示が特徴に記されています。
TV(VHF)が聴取可能な兄弟モデルのICF-810Vも同時に発売されています。このモデルの後継機種であるICF-801は外観等はほぼ同じです。TR-800という似た型番のラジオもありますが、こちらは、AM専用の1970年代のラジオです。
全体的に角を削った、丸みを帯びたデザインで、結構厚みがあります。ハンドルが付いていますが、使わないときは本体と一体化する設計になっています。本体はずっしり重いですが、スピーカーと100V用の電源トランスに因るところが大きいようです。
機能が限定されているラジオですが、なぜかダイヤルライトが、それも、ワンプッシュで点灯後30秒ぐらいで消える凝ったものが装備されています。本体サイズも大きくオーディオ部分の造りもよいのか、結構いい音で鳴るように思います。
2011年にアナログTVが停波となったことから、外観上は、スケールだけが異なる(TV1-3を消して108MHz表示に)ICF-801が、2009年に発売されています。この種のラジオとしては改良の余地も少なかったのか、13年程モデルチェンジせずに生産されたことになります。裏側に"TOWADA A"の文字があります。ソニーへラジオをOEM供給していた、十和田オーディオ製のようです。
ICF-801は、内部も小変更されているようで（低周波増幅の部分が変更になっているようです）、手元にないので確認できませんが、巷では、ICF-801の方が音が良いとおっしゃる方も見えます。
ICは2個使われています。CXA1019SはFM/AM用のワンチップラジオICで、現在もまだ使用されている定番です。このICは単独でスピーカーを駆動できますが、小型の他の機種を見てみると、4.5Vでは出力は250-280mWぐらいとどまるため、オーディオパワーアンプIC(TA7376R, TOSHIBA)を使い、出力500mWとしています。
トランジスタも主にチッブタイプが各所で使われています。番号はQ7までありましたが、見たところでは5つしか見つけられませんでした。電源回路や、ダイヤルライトの遅延消灯に使われているようです。

仕様

発売:

1996年 (平成8年)

電源:

単2x3、AC100V

トランジスタ等:

2IC, 5TR(?)

音声出力:

500mW*

バーアンテナ:

120mm

スピーカー:

102mm*, 8Ω, 3W

操作部:

電源SW、ボリューム、チューニング、バンド切替SW、ダイヤルライト

表示等:

同調LED

受信周波数:

AM:: 535 - 1605 kHz
FM:: 76 - 108 MHz (TV 1-3CH)

ターミナル:

AC100V, EARPHONE

シリーズ:

サイズ:

W214mm x H133mm x D65mm

重量:

815g

色:

黒

製造:

日本製(十和田オーディオ)

価格:

7,000円 (税別)

メンテナンス

電池を入れてスイッチを入れるも動かず、裏蓋を開けて、直接4.5Vを供給すると問題ありませんでした。端子の接触不良かと思いましが、結論は、単3エネループを単2として使用するためのアダプターをつかっていましたが、このラジオのプラス極側は、極性を間違えたときに通電しないよう、リブがついており、単3電池ではプラス極のてっぱり長さが不足して、電極が接触していなかったというオチでした。

現在(2023)は電池工業会から、電池室と電池電極の寸法設計指針というものが公開されています。そこでは、単2用電池室の正極側の凹みは0.5-1.4mm、電池正極端子は、1.5mm以上が推奨されています。このラジオは30年前の設計のためか、正極側の凹みが2mm程あり、手元のエネループの出っ張りは1.5㎜程度でした。

本体は、6本のビスでしっかりと留められています。ビスを外すと、コードは繋がっていますが、前面、基板+チューニング部、後面の3点に分かれます。基板は電源部とラジオ部2枚に分かれています。

電源基板です。安全対策のためか、別基板になっています。AC100Vのトランス・ジャックは基板に直付けされ、100Vが印加されるケーブルは排除されています。電源はトランスに直結ですので、常に電圧が掛かり、多少の待機電力を消費することになります。DCは単純な整流だけでなく、トランジスタを使ったリップルフィルタが付いています。

トランジスタ2SB1103です。もう一つはパターン側に表面実装タイプがあります。この時代になると、ケミコンも容量の割に小型化されています。

電源基板の配線側です。100Vがチャージされる部分は斜線で表示されています。

ダイヤルスケールは両面テープで固定されています。へらで少しずつ剥がせば再利用できます。

このラジオの電池室の正極側には2mmぐらいのリブがあり、エネループ単3の出っ張りは1.5mmぐらいなので、単2用スペーサーはそのままでは使えませんでした。

バリコンのトリマーは、パターン側から調整できるようになっています。

ダイヤルスケールを外したとところです。選局つまみとバリコンはギアで、スケール針とは歯付ベルトで接続されています。

チューニングのフレームと基板はは爪で止まっていいるだけで、バリコンのギアを外すと、分離でき、基板の実装面が全体が見えます。

IC2つ。

カタログ情報等

商品のしおり

商品のしおり113 (2006), p47
使いいやすい大型つまみを採用した簡単ポータカレラシオ
TV(1ch-3ch)/FM/AMポ—タブルラジオ
ICF-800 希望小売価格7,350円(税抜価格7,000円)
付属:イヤホン、乾電池、電源コード

操作しやすい大型つまみを採用
大きくて見やすい日本語機能表示
ダイヤル目盛照明付き

電池持続時間:約65時間(FM時)、約70時間(AM時)
大きさ:幅228.7 x 高さ138 x 奥行63.7mm
質量:約970g

2023/03/30

No.169