SONY ICF-4250

Serial No.159752

概要

ICF-4250はスカイセンサーの時代に生産されていた、AM/FM2バンドのポケットラジオです。ポケッタブルと呼ぶには少し大きく、これよりも小さい2バンドラジオは、以前から発売されていましたが、IC採用の高性能という触れ込みになっています。

大きさ、性能的にICF-250(B)の後継機種と思われます。チューニングスケールを上部に配置するデザインや、大きさやスイッチ類の場所等が近く、内部のチューニング機構も似ています。この時代、ICFの4000番はコンパクトラジオに使われたようですが、使用しているのは、このラジオと、後継にあたるICF-4350のみのようです。
スピーカー部分はこげ茶色の別の樹脂パーツが使われています。ロッドアンテナの先端は、この時代よく使用されていた、透明赤色です。スイッチ類はスライドスイッチなのですが、部分的にアルミを使った、高級感のあるものが使用されています。
ICの採用により、感度音質ともに向上となっています。ICはIF用でどの程度の効果かは分かりませんが、FMで高音質の音楽を、コンパクトなラジオで楽しむような需要を狙っているのかもしれません。
部品が密に配置されていて、部品の型番が難しいところもあります。ICが1つ使われていますが自社製ではなく、三洋のLA1201が使用されています。AM/FM2バンドラジオIF用のICで、9石相当となっています。
トランジスタは、見たところ8つぐらい確認できましたが、カタログには10TRと書かれています。その内、2つはゲルマニウムです。シリコントランジスタとしては、2SC4000が1つ使用されています。このTRはVHF帯の増幅用のシリコンですので、FMのフロントエンド用でしょうか。あとは、2SC839が3個ほど高周波周りに使われています。その他は、込み入っているため型番の確認ができませんでした。
低周波のドライブアンプはシリコンタイプが使用されているようです。2つのゲルマニウムトランジスタは、パワーアンプ用と思われます。入出力トランスレス(SEPP)の回路のようですので、一つは2SD187です、もう一つは確認できていませんが、2SBタイプと思います。TR-4400と同時期ですので、同じ構成(2SD187と2SB468)かもしれません。音声出力は600mWと、コンパクトな躯体に対して大出力です。

仕様

発売:

1973年 (昭和48年)

電源:

単3x4 (6V)

トランジスタ等*:

1IC, 10TR

音声出力*:

600mW

バーアンテナ:

80mm

スピーカー:

66mm*, 8Ω, 0.5W

操作部:

電源SW、ボリューム、チューニング、バンド切替SW、トーン切替SW

表示等:

受信周波数:

AM:: 535 - 1605 kHz
FM:: 76 - 90 MHz

ターミナル:

イヤホン、DC-IN{6V,センターマイナス}

シリーズ:

サイズ:

W140mm x H77mm x D40mm

重量:

332g

色:

黒/茶

製造:

日本製

価格:

9,800円

*商品のしおり 13

メンテナンス

乾電池での動作はNGでしたが、電源を電池周りに接続して確認しようとしましたが、電池ボックスの配線が複雑で、DCジャックで確認したところOKでした。

電池ふたの受け側が破損しており、ふたがしっかり閉まりませんでした。前モデルのICF-250から、この部分の強度に問題があるようです。

裏ブタは、ねじ2本外せば簡単に取れます。小さいラジオの割に太いねじが使われています。電池は4本とも同じ方向に入れられるようになっており、使うときには便利ですが、どこが6Vで、どこがGNDなのかよくわかりません。ロッドアンテナはビスナットではなく、タップビスで留められていますので、何度も取り外すのはよくなさそうです。

電池ボックスのビスと、OSCコイル近くのビスの2箇所を外すと、シャーシが外れます。スピーカもシャーシ側についているので、一緒に外せます。

分解しやすいのはこの部分までで、このさきはチューニングをばらしていく必要がありますです。スイッチ類も基板付ではなく、電線で配線されており、非常複雑でメンテは大変そうです。

ICにはA1201と書かれているので、ソニー製でCXA1201かと思いきや、SANYOと書かれています。LA1201のようです。

電池ふたの受けの部分が破損しています。このラジオの系列機種で多発しているように思います。

欠けた部分をエポキシパテで修復しました。またぼろっと行きそうですが、丁寧に使う分にはなんとかなります。巻き寿司のように2種類の素材が巻いてあるタイプです。ほんの少しの量でよいのですが、それぞれ少量ずつ取って混ぜてると固まらないことがあり、量は多くなりますが、断面に沿って輪切りした全量を使うようにしています。

当時のICラジオに貼られていた、ICマークです。

カタログ情報等

商品のしおり

商品のしおり13 (1973), p20
IC採用で性能アップ!
コンパクトなラジオ(FM・中波)
<新発売>
ICF-4250 ¥9,800

6.6cmの高性能スピーカー
IC採用で感度音質共に向上
スリムなコンパクトタイプで持ちやすく、見るからに精密

電池: 単3x4・6V
大きさ: 14.0 x 7.6 x 4.2cm
重さ: 110g

IC採用による性能向上をうたっていますが、この肝の部分が他社製というところは技術を前面に押し出していた会社としては微妙な商品かもしれません。

ラジオのデザインは重要ではありますが、「見るからに精密」の説明は無くてもよさそうな。重さ110gは記載ミスかと思われます。マンガン乾電池込みですと、410g程度と思われます。

2023/05/07

No.174